カナリア諸島のユニークなコーヒー事情
バル文化が強いスペインでコーヒーはとても身近な飲み物です。
10数年前に旅行でマドリードから来た時や、テネリフェに住み始めてもスペインの本土ではどこでも通じるのに、カナリア諸島に限ってバルで注文すると思ったようなコーヒーが来なくてやきもきしたものです。
スペイン人の人でも同じ思いをしている人も見かけ、習慣の違いと注文の仕方をきちんと説明できる人もおらず納得いかないままコーヒーを飲んでいましたが、それも今は懐かしい思い出です。
この10数年でカナリア諸島のコーヒー事情もずいぶん大陸寄りになり、スペインルールのお店や、おしゃれなカップも増えて多様化されてきましたが、まだ面白いカナリアならではのルールもあり紹介してみます。
カナリアのコーヒールール
1.コーヒーの名前は、カフェオレやエスプレッソといったコーヒーの種類だけではなく、カップの種類も表す。
カフェ・コン・レチェ(Cafe con leche)というのは日本語でいうカフェオレにあたり、コーヒーにミルクを入れたもの。私もマドリードでは好んで飲みます。
ところが、これをカナリア諸島で飲むと、なぜか微妙に量が多い!
どのくらいの量かというと、食後のお腹がパンパンの時にこれ全部飲めるかなとか、出先なのにすぐトイレに行きたくなりそうと考え込む量。
実は、カフェ・コン・レチェという言葉に秘密がありました。カナリアではカフェ・コン・レチェはなぜか朝食用(para desayuno)と呼ばれる白くてシンプルな大きなコーヒーカップに入れて飲むものなのです。
カフェ・コン・レチェ(cafe con leche) |
コルタード・ナトゥラル(cortado natural) |
そしてなぜナトゥラル(natural 自然の、普通の)と付け加えるかというと・・・
2.コーヒーはコンデンスミルクを入れるのが当たり前 だからです。
最近は大分減りましたが、コルタードとだけ言って頼むと、当たり前のようにこのようなコンデンスミルク入りのコーヒーが出てくることもよくある!のです。
下にコンデンスミルク |
厳密にいうと、コンデンスミルク入りのそれはレチェ・イ・レチェ(leceh y leche)というれっきとした名前をあるのですが、コルタードでもコンデンスミルク入りだったり。その辺りの解釈は人によってもそれぞれで、かなり緩いです。
さて、レチェ・イ・レチェ(leche y leche)。
直訳すると、ミルク&ミルク。普通のミルク(牛乳)とコンデンスミルクの2種類のミルクが入るのでレチェ・イ・レチェ。これを頼む人は多いです。響きがかわいいですね。
コンデンスミルクがカナリアの家庭にあるのは当たり前。砂糖も1、2袋(ただでさえ1袋の量は日本より多め)入れて、さらに奥に沈んだコンデンスミルクをしっかりかき混ぜて飲みます。疲れているときはぐっと甘さがききますが、かなりあまあま。カナリアの人は、かなりの甘党です。
レチェ・イ・レチェ(leche y leche) |
そしてこのレチェ・イ・レチェにもカップの種類を表す言葉が!
もっと量を飲みたいときは、テネリフェとラ・パルマ島ではバラキート(barraquito)と頼むとこのような細長いカップに入ったものが出てきます。グラン・カナリア島などではバソ・ラルゴ(vaso largo)などと頼むのでしょうか。この辺は島ごとの事情も出てきます。
バラキート(barraquito) |
まだまだユニークな事情があり、数回に分けてお届けします。
明日に続きます。